犬を飼っている飼い主にとって、愛犬の健康は何よりも大切なことでしょう。そのため、犬に与えてはいけない食品について知識を持つことはとても大切なことです。
この記事を読むことで犬にとって危険な食品や口に入れてしまうと危険なものについてを理解し、飼い犬の健康を守ることができるようになります。
犬が食べてはいけない食べ物
①ネギ属の野菜(ネギ、玉ねぎ、ニンニク、エシャロット、らっきょ、わけぎ)
②チョコレート香辛料(わさび、コショウ、唐辛子など)
③ブドウ(レーズン)
④コーヒー、紅茶
⑤アルコール
⑥キシリトール
⑦マカダミアナッツ、ビターアーモンド
⑧いちじく
ネギ属の野菜(ネギ、玉ねぎ、ニンニク、にらなど)
ユリ科ネギ属(APG体系ではヒガンバナ科ネギ属ともいう)であるネギ、玉ねぎ、ニンニク、にら、あさつき、らっきょ、エシャロット、わけぎに含まれる有機チオ硫酸化合物は犬にとって有害な成分です。
その成分を犬が摂取すると、犬の赤血球に含まれるヘモグロビンを酸化させ、結果赤血球が破壊されてしまうのです。ヘモグロビンは酸素を体全体に運ぶ働きがあり、赤血球を破壊されると体全体に酸素を運搬できなくなるため、貧血を起こし最悪亡くなってしまいます。
またこの有機チオ硫酸化合物は加熱にも強く、茹でたり焼いたりしても成分は壊れないため、調理したとしても犬にあげてはいけません。
チョコレート
チョコレートにはテオブロミンという成分が含まれています。テオブロミンは人が摂取すると集中力を高めたり、リラックス効果が期待できたりする成分です。ただし犬はこの成分を体内で分解することがあまりできません。そのため、犬が摂取すると中毒を起こしてしまいます。
テオブロミンは自然界ではほとんどがカカオのみに含まれている成分で、カカオの成分濃度が高いほど危険性が高くなります。例えばダークチョコレートとミルクチョコレートでは、ダークチョコレートのほうがカカオの濃度が高いので犬が食べた場合危険性が増します。
テオブロミンの中毒の症状としては嘔吐、下痢などを繰り返し毒素をまず外に出そうとします。大量に摂取した場合震えやふらつき、不整脈や痙攣などの神経症状が出現し、最悪亡くなってしまうのです。
原材料にカカオが含まれている場合テオブロミンは含まれているため、原材料をよく読み与えないようにしましょう。
ブドウ(レーズン)
ブドウやレーズンのどの成分が犬にとって毒となるかは未だに不明ですが、犬が食べた場合腎不全や中毒を引き起こす子もいます。特に皮が危険と言われており、食べてしまった場合でも無症状の犬も個体差によってはいますが、与えないのが一番です。
最悪の場合腎不全で亡くなってしまうケースもあるため、ブドウやレーズン単体はもちろん、パンやお菓子、ジュースなどにも含まれていることがあるため与えないに注意しましょう。
コーヒー、紅茶
コーヒー、紅茶、緑茶に含まれているカフェインは中毒を引き起こしやすい成分です。犬はカフェインに対しての感受性が高いため、数時間ほどで興奮・嘔吐・下痢・心拍数の増加・呼吸不全・痙攣などの症状が現れ、最悪の場合死んでしまうこともあります。
そのため、コーヒーなどカフェインの含まれる製品は犬の届かない場所にしまっておくなどの対策が必要です。
アルコール
犬にはアルコールを分解する酵素が備わっていないため、犬がアルコールを摂取すると容易にアルコール中毒を引き起こしてしまいます。アルコールはお酒、消毒液、お菓子などに含まれ、生のパン生地の発酵過程でも含まれています。
アルコールを摂取した場合、ふらつき・元気がない・食欲減退・意識がもうろうとしている・呼吸が浅いなどの症状が30分ほどと早めに出現します。呼吸が浅くなった場合危険性が高く、命を落とす可能性も充分にあるため消毒液なども容易に犬の手が届く所に置かないようにしましょう。
キシリトール
キシリトールは歯磨き粉やガムなど、人が口にする様々なものに入っています。しかし、犬にとっては有毒なもののため管理は充分に行う必要があるのです。犬がキシリトールを摂取した場合、血糖値を急激に下げ、肝障害や痙攣を引き起こす可能性があります。
キシリトールは微量でも摂取すると亡くなってしまうことがあり、キシリトールガム一個で小型犬が亡くなった例があるほどです。
犬の口臭が気になるからといって犬の歯磨きの際に人用の歯磨き粉を使うと、大変危険なため絶対に犬用の歯磨き粉を使うようにしましょう。犬のデンタルケアについてはこちらの記事をお読みください。↓
マカダミアナッツ・ビターアーモンド
ナッツ類は全般的に脂肪分が多く消化しにくいため、犬に与えるのはあまりおすすめしません。特にマカダミアナッツ・ビターアーモンドは中毒を引き起こす可能性があるため与えない方が良いでしょう。
マカダミアナッツを食べて6時間~24時間ほどで筋力の低下や麻痺、協調運動失調、嘔吐などの症状といった中毒症状が確認されています。
またナッツ類は水分で膨張しやすいため大量に摂取すると腸閉塞の原因となるため注意が必要です。
イチジク
イチジクに入っている成分であるフィシンとソラレンは犬にとって有害です。フィシンはタンパク質分解酵素の一種であり、食べると口の中が荒れたり、大量のよだれを出すといった症状が出ます。
ソラレンは紫外線を体内へ吸収しやすくする効果があり、皮膚の痒み(赤み)や嘔吐下痢などの症状が確認されています。
どちらの成分も犬にとっては有害なためイチジクは与えない方が良いでしょう。
イカ・カニ・エビ・タコ・貝類(生)
生のイカやタコ、カニ・エビの甲殻類、貝類にはチアミナーゼが入っています。このチアミナーゼは犬の体に入ると体の中のビタミンB1を破壊してしまう働きがあり、ビタミンB1欠乏症を引き起こします。ビタミンB1欠乏症を起こすと神経症状が出現したりするので決して生の状態で与えないようにしましょう。
このチアミナーゼは熱に弱いため加熱処理をすれば犬に与えることはできます。ただし、イカ自体は消化に悪く胃腸の負担になったり、甲殻類の食べ物はアレルギーを引き起こすリスクもあったりするため、熱を通したとしても注意が必要です。
銀杏
秋にはよくイチョウの木の下に落ちている銀杏。銀杏にも実は犬が中毒を起こす成分がであるギンコトキシンが含まれており、銀杏は食べないように注意する必要があります。
中毒を起こす摂取量は個体差によって違いますが、中には一粒で呼吸困難になったケースも報告されています。そのため散歩中は犬をしっかりと見て、拾い食いをしないように見てあげましょう。
その他食べ物で注意が必要な食べ物
①牛乳(乳製品など)
②アボカド
③鳥の骨
④ホウレンソウ・小松菜
⑤生卵
⑥香辛料(わさび、コショウ、唐辛子など)
⑦柑橘系の果物
牛乳などの乳製品
牛乳などの乳製品には乳糖(ラクトース)が含まれており、犬は体の中にラクトースを分解できる酵素があまり備えられていません。それにより犬が乳製品を摂取すると、下痢のなどの消化不良を起こしてしまいます。
そのため牛乳などをおやつに与えるのは避け、与える場合は犬用のミルクなどを与えるようにしましょう。
ちなみに人でもラクトースを分解する酵素が少ない人もいるため、牛乳などを飲んで下痢をする方は酵素が少ないのかもしれません。
アボカド
アボカドの葉や実にはペルシンという成分が少量入っており、ペルシンは犬にとって中毒性があるため食べると下痢や嘔吐をする可能性があります。
鳥の骨
成分上は特に影響はないですが、鳥の骨は砕けやすいため砕けた箇所が鋭利となり、体内を傷つける可能性があります。そのため、鳥の骨は万が一を考え与えるのは避けるべきでしょう。また生の鳥の骨はサルモネラ菌が含まれてるので、もちろん与えるべきではありません。
ホウレンソウ・小松菜
ホウレンソウや小松菜にはシュウ酸という成分が入っており、シュウ酸は人もですが犬も尿結石の原因となる成分です。シュウ酸は熱処理に弱いため、茹でるなどの調理を加えることでシュウ酸を減らすことができます。
もし、ホウレンソウや小松菜を与えたい場合は熱処理をして、水洗いをするなどできる限りシュウ酸を減らしてから与えると良いでしょう。
生卵
生卵の卵白にはアビジンが含まれており、アビジンはビオチンの吸収を妨げてしまう成分です。そのため犬が摂取するとビオチン欠乏症になり皮膚炎や脱毛、成長障害といった症状が現れる可能性があります。アビジンは熱に弱いため、熱処理すれば卵は犬に与えても問題ありません。
香辛料(わさび、コショウ、唐辛子など)
香辛料などの刺激が強い食べ物は犬が摂取すると、胃腸などに刺激となるため下痢や感覚麻痺などの症状を起こす可能性があります。そのため、好意に与える方はいないと思いますが、間違って犬が食べないように注意する必要があります。
柑橘系の果物
グレープフルーツやみかんなどの柑橘系の果物は基本的に犬に有害となる成分は入っていません。しかし外皮・内皮・白いスジは消化が悪いため、消化不良を起こし、下痢や嘔吐などの症状を引き起こす可能性あるため注意が必要です。
食品以外での注意するもの
前述では犬が食べてはいけない食べ物を述べてきました。
そのほかにも植物など食べ物ではないですが、犬が食べないように注意する必要があるものがあります。以下のものは犬が口にしやすい害がある植物や薬品です。
植物…スイセン、チューリップ、スズラン、アサガオ、アロエ、ユリ、ポインセチア 、ポトス、ツツジ、イラクサ、セイヨウキヅタ、アジサイ、トリカブト、レンゲ、彼岸花、スミレ、ホオズキ
薬品…融雪剤、乾燥剤、除草剤
虫…ハチなどの毒を持った生物
食べてしまった時の対処法
再三の注意をしていても、飼い犬が危険な食べ物を食べてしまった時は早めの行動が大切になります。まず量に関わらずできるだけ早く動物病院に連れていくようにしましょう。家でできることは少なく、誤った処置をすればかえって症状を悪化させてしまうことがあります。
また病院にいくときは、何をどのくらいの量食べてしまったか、いつ頃食べたのかをできる限り正確に伝えることが大事です。例えばチョコレートを食べてしまったときは、パッケージの成分表を持参し、どの程度の量を何時間前に食べたかを獣医師の先生に伝えるとスムーズに診療に入ることができます。
個体差にはよりますが、体重に対して有害な成分がどの程度摂取されたかで重篤な症状となるかが変わってきます。かかりつけの動物病院があるのであれば、電話で状況を伝えておくと獣医師の判断を仰ぐことができるでしょう。
まとめ
人と犬は体の構造が違うため、食べるものも人が食べても大丈夫であっても、犬にとっては有害な物があります。犬は本能的にこれは食べてはいけないと避ける場合がありますが、絶対ではないため飼い主が知識をつけ食べさせないようにする必要があるのです。
有害なものは手の届かない場所に置いたり、すぐに片づけたりする習慣を身に着け、大切なパートナーとともに健康で元気に歩んでいけるようにしていきましょう。
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